福岡市科学館

福岡市科学館

2025618日、福岡県福岡市中央区にある福岡市科学館へ行ってきました。

最寄りの地下鉄の出口に、科学館の目印になるグラフィックが貼られています。


科学館はビルの3~6階で、地上からの専用エスカレーターがあります。

5階、基本展示室の入り口に続く廊下の壁には、ウォールアートがあります。イラストに合わせて動く映像も投影されており、一部は触れると反応する仕掛けになっています。

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基本展示室へ入ったところです。

「宇宙」コーナーです。中央のテーブル状の装置が「惑星メイカー」です。丸いテーブルの天板に、天井から映像が投影されています。

丸テーブルの中央には恒星らしき天体の映像があり、その周りに色とりどりの粒が漂っています。色ごとに、「岩石のチリ」「ガス」「氷のチリ」といった、星の材料が表現されています。

テーブルの上で、腕で輪をつくって影を落とすと、その輪の内側の粒子が一か所に集まっていき、腕で囲った部分の材料の組成を反映した新しい惑星の画像が生成され、恒星の周囲を回り始めます。

「惑星ランキング」です。太陽系惑星の模型が並んでいて、模型を左右の黄色い部分に載せると、モニターにその2つを比較するクイズ(重さ、大きさ、公転軸の傾きetc.)が表示されます。

正解と思う模型を残し、もう一方を黄色い部分から下ろすことで回答します。

「きぼうアーム」です。国際宇宙ステーションのロボットアーム操作シミュレーションなどができます。

コントローラーを使ってロボットアームを動かします。アームの位置をモニターするノートPCが漂っているようなグラフィックが、ISS内部のような雰囲気を上げています。

「きぼうアーム」の什器には、原寸大と思われる大きなロボットアームの模型が取り付けられています。

「ゼロトレーナー」です。無重力空間にいるときのように、体の上下・左右が自在に入れ替わりながらぐるぐる回る体験ができます。

「地表サーチ」です。人工衛星を使って、地表の凹凸を測定するイメージの体験ができます。

白いおじゃみが入っていて、高く積み上げられた部分には黄色、低い部分には紫色など、高低に応じた色が投影されます。おじゃみの積み方を変えると、投影される色も変化します。

頭上の人工衛星のように装飾されたプロジェクターから映像が投影されています。

「地球シアター」です。地球46億年の歴史を1年間になぞらえて紹介しています。映像を映すスクリーンは正面・左右・足元と4面にわたり、迫力があります。

「地球エレベーター」です。内部にエレベーターの階数ボタンと、正面には縦長のモニターがあります。

階数ボタンを押すと、地球の地下マントル~地上400㎞の熱圏まで移動するエレベーターの窓から見える景色をイメージした映像が再生されます。

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「重力ターン」宇宙機のスイングバイ航法を模した展示です。什器の片方の端の傾斜台からボールを転がし、反対側のゴールを狙います。

什器の天面には2つのろうと状の穴が開いていて、穴を避けつつ周囲の傾斜を利用して加速や方向転換を行います。ボールがゴールや途中の穴に落ちるのに反応して、音と映像が流れます。

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「ウェザーマン」です。天気図などを見ながら、天気を予想するクイズに回答します。体験者がニュースの気象予報士になったようなストーリーの仕立てが面白いです。

「サイエンステーブル」スクリーンと数席のイスからなるスペースです。館のスタッフさんが、科学的な話題をクイズをまじえて教えてくれます。この回は肉食動物と草食動物の頭骨の違いについてでした。

「地球ウィンドウ」です。宇宙から眺める視点から、地球上で起こった大規模な気象現象や大津波の様子などを、手元のモニターで選んで表示できます。

半球型のスクリーンに過去の気象データなどを映し出すほか、地球儀を回すように見る角度を変えることができます。

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「銀河トラベル」です。バランスボードの上に立ち、前後に体重移動することで、床に投影される映像の視点を近づけたり、離したりすることができます。

もっとも近づくと福岡市科学館の「銀河トラベル」の頭上、離れていくと太陽系を飛び出し、天の川銀河を遠くに眺めたりできます。

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「環境」コーナーです。入り口には、エジソンのパネル・解説モニターとともに、当時の電気自動車が展示されています。エジソンは蓄電池や電気自動車の開発もしていたそうです。

「ウォーターサイクル」です。複数の分岐をもつボールコースターで、右上の雲の部分の開口から水に見立てたボールを転がします。雨水がいろいろな経路で海へ戻る様子が表現されています。

「エナジービレッジ」です。ある街が必要とする電力をまかなうために、どんな発電の手段をどれくらいの割合で使うかを設定してシミュレーションするゲームです。

気象条件により変化する発電量、風力発電の騒音問題、燃料のコストや廃棄処分の問題など、ゲーム中に「街の人の声」として電力確保の課題となる知識を知ることができます。

「環境はてな」です。カメラ付きモニターはモニターの正面を映し、小さいアイコンがいくつも合成されて画面上を漂っています。ゲームでは環境に関するABクイズが出題されます。

正解だと思う方のモニターの前で体を動かすと、体が当たったアイコンが消えます。時間内に消えたアイコンの数が多い方が回答となります。お子さんグループが盛り上がりそうな仕組みです。

「どこでも地球儀」です。地球儀に取り付けられたボタンを押すと、該当地域の気候やそこに住む人の暮らしを紹介する映像が流れます。

「SCシアター」大きなスクリーンでお話を楽しんだあと、サイエンス・コミュニケーターのガイドに従い、手元のモニターで関連するクイズやパズルなどに取り組み“探究する”体験型展示です。

「フクオカフィールド 福岡の自然発見」です。福岡の特徴的な自然が再現された3つのジオラマがあり、こちらは佐賀との県境にある背振山のブナ林の植生や野生動物が展示されています。

ジオラマの手前のモニターでは、ジオラマの中の動植物を探すゲームや3択クイズなどで、理解を深めることができます。

南公園のシイ林のジオラマです。

和白干潟のジオラマです。

「生きものピラミッド」です。分厚く柔らかい素材のパズルをピラミッド型に積み上げます。

ピラミッドは森林・河川・海洋の3種類あり、パズルにはそれぞれの生態系における食物連鎖をイメージした動植物が描かれています。

「エナジーシュート」です。正面モニターにエネルギーの変換についてのクイズが出題され、足元のスクリーンでボールのように跳ねて動き回るエネルギーアイコンを蹴る動作で回答します。

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「サイエンスショーシアター」定員百余人ほどの座席があるサイエンスショーができるステージです。見学者が実験に参加できるパートもありました。

「地球のつぶやき」です。地球の映像が投影されたテーブルに唇型の造形を置くと、その唇に合わせて映像や文字、音声が再生され、地球が喋っているような演出が始まります。

地球がつぶやく(ぼやく)内容は海洋プラスチック、温室効果ガスなどの環境問題。トピックによって話者の口調や性格が違うようで面白いです。

「生活」コーナーに入ります。まずは暮らしに溶け込む技術が集められたテーブルです。

「指向性スピーカー」です。スピーカーから流れる音声が、スピーカー正面ではよく聞こえますが、正面からある程度左右にずれると急にほとんど聞こえなくなります。超音波を利用した技術だそうです。

「圧電素子シート」です。圧電素子が取り付けられた椅子に座ると、座った人の呼吸や心拍によって起こるわずかな体圧の変化を感知し、その人の緊張状態を測定します。

この時の筆者は、ちょっと緊張していたようです。

「サーモグラフィカメラ」です。赤外線を使って非接触で温度を測定するカメラと、測定結果を色で表現して映すモニターからなります。

カメラの前に座ってみました。顔や手など肌の露出している部分の温度が高いのがわかります。

「ぐらぐらチェア」です。それぞれが小さな起震台である3つのイスは、下部の構造が異なっており、右から「免震」「制震」「耐震」構造になっています。

イスに座って肘掛けのボタンを押すと、押している間イスが揺れ、構造による揺れの伝わり方の違いが体感できます。免震構造以外は、思わずボタンから手を離してしまうほど強い揺れでした。

「どこでもサーチ」GPSの技術を紹介する展示です。黒いアイテムの位置を特定するために複数の人工衛星からの距離の情報(色違いの円弧で表現)が使われていることを表しています。

黒いアイテムの位置が変わってもGPSからの信号を表現する円弧は追従し、またはより近い衛星からの信号に切り替わり、複数の衛星からの信号を受信しつづけます。

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「フライトシミュレーター」です。飛行機の操縦体験ができます。

スロットルレバーに操縦かん、足元には上級編で使う2つのペダルと、たくさんの操作部があります。

「ロボチャレンジ」イライラ棒のクリア時間をロボットと競います。イライラ棒は、棒を手に持ち、狭い通路の壁に触れないようにしながらスタートからゴールまで移動させるゲームです。

正確な動作を得意とするロボットに勝つのは、かなり難しそうです。筆者は初級にも勝てませんでした。

「せいざAI」です。手元のモニターにタッチしていくつかの星を作ると、そこからAIがオリジナルの星座を作って、その星座のイメージ映像を生成します。

こんな結果になりました。“怒れるロブスター座”でしょうか…?ちなみにこの後、生成された画像をダウンロードできるQRコードが表示されるので、できた画像は持ち帰れます。

「すいすいマスター」手元の画面で道路網と、そこを走る自動車の様子をモニターし、混雑してきた交差点の信号機を切り替えることで渋滞させないようにするゲームです。

「にんしきAI」です。手前の台の上に用意された材料を並べてカメラで読み取らせると、AIがパンダ・シマウマ・ゾウ・キリンのうちどの動物かを判断します。

シマウマとパンダで悩んで、ややシマウマが優勢のようです。

横のモニターでは、どういう仕組みで判断しているのか解説されています。

「ものかきAI」です。60枚の単語カードの中から3つの単語を選び、ボタンを押すと「名言」「童謡」「小説」それぞれのデータベースから学習したAIが文章を作ってくれます。

「あなた」「小さい」「空」で作文してもらった結果です。こちらもQRコードをスマホで読み取れば結果のデータを持ち帰れます。

「まちモケイ」福岡市科学館が入った建物と、そこに面した大通りの模型です。側面のモニターには、くらしを支える公共交通機関などの解説映像が流れています。

「レインワークス」です。都市に雨が降っているシチュエーションで、雨水の排水菅を手動で操作し、街に雨水が溢れないように排水を行うゲームです。

「生命」コーナーです。こちらの装置は「進化の箱庭」というシミュレーション展示です。

3部位x各3個のパーツから好きな組み合わせを選び、位置に合わせて置きます。その組み合わせをカメラが読み取り、立体的な生き物のモデルが生成されて真ん中の箱庭に放たれます。

時間経過により環境の変化(氷河期到来など)が起こり、ほかの生き物との力関係もあって、箱庭に放たれた生き物の個体数は増減します。絶滅すると、絶滅するまでの時間が表示されます。

「系統樹コースター」です。各トレイでは地球史上の大量絶滅が表現されており、トレイひとつごとに一定の割合でボールがコース外へと離脱していきます。

コース外に離脱したボールの行き先には、その大量絶滅で淘汰された種のイラストが描かれています。ちなみにコースターのゴールには、現代の生物のイラスト付きルーレットがあります。

「ビッグヘッド」です。巨大な頭部の模型で、一部を引き出すと目・耳・口・鼻といった感覚器のイラスト付き解説を読めるほか、脳の形のクッション製パズルもあります。

「輪切りのわたし」です。モニターの人体3Dモデルは、装置の前に立った人のポーズを真似するので、“わたし”が装置内に入ったかのような感覚になります。

3Dモデルに重ねて、体が輪切りにされたようなMRI画像が表示されます。腕を上げ下げするとスキャン位置を操作できます。

「みえないはたらきもの」です。ストーリー仕立てで、体内で働くタンパク質が紹介されています。手元のモニターでストーリー展開に合わせて操作をすることで体験性を高めています。

「生きもの発見」です。いくつかの台紙から好きな動物のシルエットを選び、手前のテーブルで自由に色塗りをします。

色塗りした台紙を正面モニター下の差し込み口に入れると、自分が色塗りした動物が画面に取り込まれ、どんな動物のシルエットだったかの情報が見られます。

「遺伝子のモヨウ」です。

中央の小さなタッチパネルでの操作をきっかけに、染色体がモニター上部に整列します。この染色体をもった生殖細胞が分裂などの過程を経て新たな生物になっていく過程を映像で学びます。

「ミクロテーブル」です。透明なキューブに閉じ込められた標本を双眼顕微鏡で拡大し、細胞の様子などを観察できます。

「クリエイティブスペース」です。福岡市科学館が新しい科学展示のアイデアを募る「クリエイティブアワード」の受賞作品などが展示されています。

「ミクロサイトシーイング」です。自分がミクロサイズに小さくなった時、身の回りのものがどのように見えるか 体験できるそうです。

宇宙船から、未知の星に向かって“メテオボール”を発射し調査するという設定のゲームです。2024年の受賞作のようなので、設置されたてかもしれません。

足元のパッドで選択・決定の操作を行い、タイミングよく投球動作をすることでボールが発射されます。正面スクリーン下に動作を認識するカメラがあるようです。

「見せつけろ!マンタドリーム」です。マンタの形の水陸両用の乗り物に乗って、海の中から空へ飛び出し、目的地の上空からの景色を眺める映像体験ができます。

手元のハンドルを操作することで海中から上昇したり視野を変更したりできるので、体験性が高まっています。

「サイコロビンゴ」です。数字が書かれたサイコロと四則演算の記号を組み合わせて、ビンゴカードに表示されている数字をつくるゲームです。

2名の対戦形式で、制限時間内にマスを獲得する・ビンゴするなどでスコアを獲得し、最終スコアを競うようです。

「イチジクとイチジクコバチの共生関係の世界」です。スクリーンの動画を見たあと、手前のモニターで“AIサイエンスコミュニケーター”へ質問できます。質問は音声認識で行います。

「びっくりパズル」です。パズルのピースは2種類しかありませんが、これらを自由に組み合わせることで新しい模様ができるかもしれません。創造性が刺激されそうです。

「フューチャー」コーナーの「プラネットプランター」です。館内の各展示に設置されたスタンプを台紙に集め、操作部に台紙を差し込むと、ゲームに参加することができます。

スタンプの量に応じて4種類のタネを獲得し、そのタネを未開発の星に向かって発射することで星を育てます。使用したタネの組成によって、どんな星になるかが変わります。

プラネットプランターをぐるりと囲むように「九州大学 先生の森」と銘打った、九州大学の先生を紹介するパネルが展示されています。

「サイエンス&クリエイティブラボ」という新しい技術を紹介する展示スペースです。

九州大学が自然環境を守りつつ道路や建物を新造するために行った「森の引っ越し」の紹介です。

「めぐりステーション」選択肢の中から気になった内容を選ぶと、館内のおすすめ展示を教えてくれます。

「バイオフォトグラメトリ」動物を高精細3Dデジタル標本にする技術で、従来の標本より保管・閲覧の自由度が上がるほか、メタバースでの応用も期待されているそうです。

裸眼で立体視できるモニターも展示されています。これで5階展示室はひととおり回りました。

4階、「サイエンスナビ」。科学関係の図書コーナーや映像閲覧コーナーがあります。

3階「連携スクエア」には、地元企業の技術などを紹介する展示があります。こちらは九州電力のブースです。

「発電を体験し原理を知ろう!」です。ハンドルを回すと発電され、早く回すほど発電量が増えます。発電量は正面パネルのLEDラインが下から順に点灯することで表現されます。

「つくる人で削減」です。発電方法ごとにモニターと、スイッチとなる操作部があります。スイッチを操作している間、電気が送電線に流れるLED演出と、モニターに発電方法の特徴が表示されます。

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「つかう人で削減」の「カーボンニュートラルチャレンジ」というゲームです。下の小さなモニターを操作して参加します。

町のイラストの中に描かれたマスコットキャラクターを探しタッチすると、カーボンニュートラルにつながる行動の解説が表示されます。

「NEXT Lab.」先進技術の紹介コーナーです。スポーツセンシング技術が、使用される計測機器などとともに紹介されています。

三好不動産のブースです。SDGsの取り組みについての紹介映像やパネルが展示されています。ご当地ヒーロー「ドゲンジャーズ」の塗り絵コーナーもあります。

西部ガスのブースです。天然ガスの紹介、西部ガスの事業紹介、SDGsへの取り組み紹介がされています。

手前のタッチモニターで、SDGsアイコンを使った絵合わせゲームができます。

RKB毎日放送のブースです。「SDGs STUDIO」として、SDGsのそれぞれの目標に関わる取り組みのニュース映像を流しています。

JR九州のブース「みんなのミライマチふくおか」です。ミニゲームを手前の小さなモニターで遊べるほか、正面の大スクリーンと連動した演出もあります。

ミニゲームの内容は、JR九州が取り組んでいる街づくりの活動紹介にもなっています。

最寄りの地下鉄 六本松駅のホームには、今夏に福岡市科学館で開催予定の「カガクノミカタ展」とコラボした装飾がされていました。

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