科学館展示の変遷


2023.07.10

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「2進法による数あて」

京都で科学館といえば、京都深草にある「京都市青少年科学センター」です。子供のときは学校から校外学習でよく行っていました。

いつも楽しみにしていた記憶があります。




大人になって科学館の展示物をつくる仕事をするようになりましたが、この科学センターは、ほとんど展示物のリニューアルがなく古い昔からある科学館というイメージで、進んで訪れることはありませんでした。




あまり行くことがなかった科学センターですが、息子ができてからは、雨の日のお出かけで、時々連れていくようになりました。相変わらず展示物は古いですが、息子は科学センターが好きなようで、いつも長時間居座っています。




そんな息子が一番好きな展示物は、「2進法による数あて」です。これは心に思った数を6つ質問に「はい」「いいえ」で答えることで、心の数字を当てるという装置です。数を2進数で表し答えを絞っていくコンピューターの原理を説明するような展示になっています。

 見るからに古そうな展示物ですが、解説によると1970年に製作されたので、まだ電卓も普及していない頃につくられたそうです。

文字や数字の表示は樹脂板に文字を彫刻、墨入れされていて、裏側にある照明の入り切りで、表示を切り替えて表現しています。文字は独特なフォントで行灯照明はオレンジ色の電球です。表示が切り替わるたびに機械の中からカチカチとリレーの音が聞こえます。

最後の答え合わせの表示は、「ニキシー管」です。真空管に似たガラス内に0から9の数字の電極が入っていて、放電により数字を発光させるモノです。

彫刻文字と電球の行灯表示.JPG

「彫刻文字と電球の行灯表示」

選択スイッチとニキシー管表示.JPG

「選択スイッチとニキシー管表示」

今では、文字や図解はパソコンで作成されたキレイなフォントやイラストのグラフィック。照明は白い光のLED、表示は高精細なカラー液晶が当たり前で、制御はマイコンやパソコンが使用されています。そう考えると何もかも違っていて、今では見ることができないモノばかりで、一周回って新しいというか、大変貴重なものに思えてきます。




息子がこの展示に興味を持っていることでも分かる通り、装置が古くても本質的は面白さがあれば、現代でも通じているようです。科学センターには、これ以外にもレトロな展示がたくさんあるので、いつもと違った目線で見学するのもオススメです。

古い古いと書きましたが、ちゃんと新しい展示物も少しずつですが導入されています。1970年から現代の装置まで、科学展示装置を一挙に見ることができる貴重な場所です。是非一度訪れてみてください。




京都市青少年科学センター

http://www.edu.city.kyoto.jp/science/

展示品ガイド

http://www.edu.city.kyoto.jp/science/about/digiguide.html

「2進法による数あて」解説

http://www.edu.city.kyoto.jp/science/about/202003_0210nisinhou.pdf




吉岡 亮